スポーツ選手にとって競技特性を考慮して、どこの筋肉を鍛えるかは、パフォーマンスの向上にあたって重要となります。
そこで今回は、人のアクセル筋とブレーキ筋について書こうと思います。
人の身体には、アクセル機能として作用する筋肉とブレーキ機能として作用する筋肉とがあります。
今回は、その代表である裏腿の筋肉(ハムストリングス)と前腿の筋肉(大腿四頭筋)を例に上げていきます。
結論から言うと裏腿の筋肉がアクセル筋で、前腿の筋肉がブレーキ筋です。
階段を降りる際や坂道を降る際を思い出して頂ければ明らかだと思います。
誰もが腿前の筋肉に力を入れ、ブレーキを掛けながら降りるはずです。
少し話は逸れますが、日本人選手の脚は外国人と比べると、太く短足なイメージではないでしょうか。
これは、腿前の筋肉が発達している証拠です。
腿前の筋肉が発達していると、脚は太く大きく見えます。
TVでも日本人選手が筋肉のすごさを取り上がられる場合、よく目にするのが腿前の筋肉です。
しかし、これは本当にスポーツ選手にとって良いことでしょうか。
先程も書いたように前腿の筋肉はブレーキ筋として作用します。
ほとんどの競技が走ることを前提としているのに、腿前の筋肉が発達しているということは、自転車でブレーキを握ったまま、ペダルを漕ぎ続けているようなものです。
※前腿の筋肉が発達していても、走っている時の筋活動が最小限にコントロールできている場合もあり、そうとも限らない場合もあります。
一方で、外国人のスポーツ選手をみると、脚がスラッとしており、モデルのような脚をしていると感じた方も多いのではないでしょうか。
これは、日本人と違い外国人選手の多くは、前腿の筋肉より、裏腿の筋肉が発達しているからです。
この腿裏の筋肉は、アクセル筋として働き、スピードだけではなく、ジャンプ力や切り返しの俊敏さ、キック力にも良い影響与えます。
この話をすると、よく誤解されるのが、前腿の筋肉は鍛える必要がないという意見。
しかし、走るスポーツの多くは、止まる能力も必要となるはずです。この時、最も使う筋肉は腿前の筋肉です。
また、走っている際に前腿の筋肉の一部である広筋群という筋肉は膝関節の安定性に関与します。
そのため鍛える必要がないという訳ではありません。
大事なことは、どちらの筋肉も必要な時に働かせ、不必要な時には抑制させることができる身体操作能力を身につけることです。
要はしっかりと使い分けができることが重要です。
最後までお読み頂きありがとうございました。