中高生の陸上選手をみていくなかで足首が硬い選手が非常に多いことに気付かされます。
そのため、今回は柔軟な足首が陸上競技においてパフォーマンス向上に必要な理由について書いていきたいと思います。
足首の硬さをみる一つの基準として
かかとを地面につけた状態でしゃがみこみを診ていきますが、これができない選手が半分以上いるように思います。
確かに、陸上競技では地面からの反発を効率よく身体重心に届けるために硬い脚が必要と言われています。
しかし、これはあくまで硬くできる脚が必要という意味で、柔軟性が必要ないという意味ではありません。
重要なのは柔軟な脚を瞬時に硬くできる能力です。
なぜ、足首の柔軟性が必要かというと
スタート時に地面へ伝える力が長い方が加速に有利となってくるからです。
この動画を見て下さい。
11分30秒辺りからアサファ・パウエル選手とタイソン・ゲイ選手の足の接地の違いについて流れます。
パウエル選手は柔軟な足によって、足底の接地面が広くなっています。
それに対し、ゲイ選手はつま先のみの接地で地面との接地面が小さくなっています。
この接地面積の違いが何を表すかというと
身体重心に届く床反力の違いを表します。
パウエル選手は足底の接地面積が広いため、自身の身体を長い時間押し進めることができます。
しかし、ゲイ選手はつま先のみの接地のため、自身の身体を押し進める力は弱くなります。
これはスタートから加速期の局面において大きな差となります。
実際にスタートから10mまではパウエル選手の方がゲイ選手より速く通過しています。
動画の通り
スタート直後には硬い足より柔軟な足の方が必要とされます。
しかし、かかとをついてのしゃがみこみもできない選手の多くは、可動域の問題から接地時間を長くすることができないため、床反力を十分に発生させることができません。
これが陸上選手に柔軟な足が必要とされる理由です。
もちろん、ケガとの関係もあるため、短距離だけでなく、長距離も柔軟性は必要です。
足首周辺の筋肉が硬くなるとシンスプリントになるリスクが高くなります。
また、ハードルでは着地の際のバランスにも大きく関与してきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。